コールセンターにとどいた声

支援者たちの声

CASE01

活動の場を見つけたい[社会福祉協議会の職員]
[対象者:男性 60代前半 アルツハイマー型認知症]

相談内容

男性のご家族より「車の運転はやめてから家に引きこもってしまっている。ボランティア活動など活動の場はないだろうか?」と相談を受けています。地域包括支援センターにも相談しているが他にどこか相談できるところはありますか?

相談者の思い

  • ご本人が楽しく過ごせる場所を見つけたい。
  • ご家族の心配する思いに応えたい。

相談員の対応

地域包括支援センターからも情報があるかと思いますが、若年性認知症支援コーディネーターに相談されても良いと思います。居場所などの情報提供や相談にも対応しています。

CASE02

専門職に求められること[相談者:居宅介護事業所のケアマネジャー]
[対象者:女性 50代後半 アルツハイマー型認知症]

相談内容

女性は、診断後から自宅で夫と過ごしています。介護保険のサービスも利用できていません。夫が妻に関わろうとしないため、近所に住む女性の姉が受診に同行し、1人で外出できない女性に付き添って散歩をしたり、夕食の支度を手伝ったりしています。こちらへの相談も、おもに姉から受けている状況です。支援者と姉は、夫婦で認知症カフェや家族会などに参加してほしいという思いがありますが、夫婦ともに人見知りがあるため行きたくないと言います。若年性認知症に特化した家族会があれば、そちらに誘ってみようと思い、探していますが見つかりません。今後、どのように支援していけばよいか悩んでいます。

相談者の思い

  • 夫婦で認知症カフェなどに参加して、外に出掛けてほしい。
  • ご本人の症状が悪化しているので、このままではよくない。
  • 夫にどのように病気を理解してもらえばいいだろう。

相談員の対応

認知症介護家族のたどる心理ステップ(①「戸惑い」「否定」➡②「混乱」「怒り」「拒絶」➡③「割り切り」「あきらめ」➡④「理解」➡⑤「受容」)に沿って支援していかれることが大切です。 支援者側が焦り過ぎると、かえって良くない方向に向くことも考えられます。
ご家族が病気を受け止められない要因を考えて、寄り添っていかれることが大切です。 また、若年性認知症コールセンターのホームページ内のみんなの広場には、全国の若年性認知症の方が利用できるデイサービスや交流会、カフェ、相談窓口等をご案内しておりますので参考にしてください。

CASE03

認知症の人の活動の場[相談者:市役所福祉課職員]
[対象者:50代 男性 若年性認知症]

相談内容

先日、市役所の窓口に対象のご夫婦からの相談がありました。相談者の男性は若年性認知症と診断され、すでに退職し自宅で過ごしているとのことでした。男性は「自分にはまだまだできることがあると思う。」との思いを言われ、男性の妻は夫婦で共に活動でき、社会貢献になるようなことを探されていました。
当方からは「ご夫婦でボランティア活動に参加されてはいかがでしょう。」と伝え、その窓口である社会福祉協議会をご案内しました。他にはどのような活動が考えられるでしょうか。

相談者の思い

  • まだまだできることがある。
  • 身体を動かして取り組めることはないだろうか。
  • 夫婦で社会貢献をしたい。

相談員の対応

ご本人の活躍の場があることは、とても意義のあることだと思います。ご本人が希望されればですが、福祉的就労(就労継続支援A・B型など)や、地域包括支援センターでの活動に参加するのも良いかと思います。スポーツや絵画芸術をともに楽しむ団体にも繋がれる可能性があると思います。身体を動かすことがお好きならばウォーキングの会や地域の体操クラブも検討できると思います。医療機関のデイケアでの運動などが利用できるかもしれません。その際に、各都道府県に配置されている若年性認知症支援コーディネーターにも相談されると良いアイデアも共有できます。介護家族やご本人が利用できる家族会や認知症カフェなども勧めていただくと良いでしょう。

CASE04

認知症カフェを開催して[相談者:認知症カフェ開催者]
[対象者:認知症カフェ参加者]

相談内容

認知症カフェを月に一度、開催しています。対象者を限定していないので、年齢も状況もさまざまな方々が来られて、その参加目的もまたそれぞれに違います。そのような中で、認知症のご本人がほかの方の持ち物に触れたり、歩き回ったりする行動に対して、他の参加者から怪訝に思う声が聞かれることがあります。  開催者としては、どのような方々にも有意義でかつ心地よい時間を過ごしてほしいと願っています。認知症のご本人やまたその周りの方に対して、どのように対応するのがいいだろうかと考えています。

相談者の思い

  • 認知症カフェにおいて認知症のご本人への接し方はどうすればよいか。
  • 認知症カフェに来てくださっている人みんなに認知症の方の症状を理解してもらうにはどうすればよいか。

相談員の対応

相談者さんが開催するカフェの趣旨を改めて思い起こし、それをスタッフ間で共有できていくといいですね。
全国に様々な認知症カフェが存在していますが、参加者を限定しないもの、あるいはご本人とそのご家族などに限定するものがあります。また、認知症に関する学びに主軸を置くカフェ、情報交換や交流が目的のカフェ、ゆったりと休息を意識したカフェなどその形は多種多様です。対象者を限定していないところでは、認知症に対する知識の有無や見解も様々だと思います。認知症のご本人が感じる心地よさについて、同伴のご家族があるようならその情報をお聞きしたり、必要であれば認知症のご本人には個別にスタッフが対応したり、着席する場所を指定するなどの方法を検討されてもいいですね。ほかの参加者に関しても同じように考えていくことができます。
また認知症のご本人やご家族の了承を得て、専門職を中心に認知症についての理解を深めるミニ講座などを開き、カフェの参加者で話し合うこともいいですね。その際ボランティアを募るなど、誰もが参加できる体制を整えることも良いのではと思います。 毎回のカフェ終了後に課題があればその解決に向けての検討をし、時には今後の様々なケースを想定し対応のアイデアを出し合うなど、充実したカフェ開催を全スタッフで取り組んでみてください。

CASE05

若年性認知症の人への配慮のポイント[相談者:男性、会社員(休職中)]
[対象者:障害者相談支援事業所の支援相談員]

相談内容

市民向け勉強会に出席した妻が若年性認知症の夫について市役所に相談したことからケア会議を開催することになり当方の障害者相談支援事業所の支援相談員にも同席を求められた。ご本人の状況や希望など基本的な情報は共有できているが、若年性認知症の方を支援するのは初めてであるため、特に配慮の必要な点などを知りたい。

相談者の思い

  • 若年性認知症の方の支援での留意点を知りたい。

相談員の対応

まずはその方のできることと困難なことを的確に把握することが必要になります。その方に短期記憶の保持が難しい症状がある場合には、そこへの配慮が必要になります。例えば、その日の作業内容や流れを紙面に書いて見えるようにする、作業の済んだ範囲や、まだ終わっていないことなどを視覚的に分かりやすくする、などの工夫も良いでしょう。その方の特性に合わせた配慮と工夫をするという点では、他の障害者の方々への対応と基本的には同じと考えてもらえると良いです。
また通所の場合、送迎サービスの利用は必要か、あるいは自力での通所ならば道中の安全確保のための工夫(行き方を書いた紙を持つなど)をどうするかなども考慮できると良いでしょう。支援を検討する際には、若年性認知症支援コーディネーターとも連携をとることをお勧めします。