若年性認知症について知る

診断が遅れる理由

若年性認知症の場合、多くの人が現役で仕事や家事をしているので、認知機能が低下すると、支障が出て気づかれやすいと考えられます。しかし実際には、仕事でミスが重なったり、家事がおっくうになっても、それが認知症のせいとは思い至りません。疲れや、更年期障害、あるいはうつ状態等、他の病気と思って医療機関を受診します。誤った診断のまま時間が過ぎ、認知症の症状が目立つようになってからようやく診断された例も少なくありません。若い人にも認知症があることを理解しましょう。

どのような医療機関にかかればいいの?

医療機関の紹介

産業医就労中に気づかれた方は、産業医(※1)に相談することができます。仕事に支障が出てくる場合もありますので、仕事の内容や雇用管理などの調整にも協力してもらえます。専門医療機関への紹介状を書いてもらうこともできます。
(※1)労働者の健康管理等について、専門的な立場から助言・指導を行う医師です。一定規模の企業には産業医の選任が義務付けられています。

かかりつけ医認知症の治療は長く続くうえに、日常生活での困りごとが起こってくる場合もあります。身近に、日頃かかりつけの医療機関があれば、安心できます。確定診断や、症状の変化などで専門医を受診する場合も、紹介状を書いてもらうとスムースに受診できます。
専門の研修を受けた医療機関や医師の情報について、都道府県のホームページや各地区の医師会のホームページなどで公開されています。

専門医療機関

認知症疾患医療センター 認知症を専門とする医師がおり、診断、治療方針の選定、入院も可能な医療機関です。都道府県に複数あります。認知症についての医療福祉相談も行っており、地域の保健 医療・福祉関係者の支援も行います。都道府県ホームページで公開されています。
認知症専門医 認知症を専門とする医師でそれぞれの学会が認定した専門医です。
認知症サポート医 国が進める「サポート医研修」を受け、認知症に関する専門的知識・技術をもって、かかりつけ医への助言や、地域の認知症医療の中心的役割を担う医師です。
地域の医師会のホームページに名簿が公表されています。

受診の心構え

本人の普段の様子をよく知っている人が付き添って受診しましょう。
病院へは、今までにかかった病気やけが、いつ頃からどのような変化があったかなどを医師にわかりやすく伝えるため、具体的に記したメモ等を持参していくとよいでしょう。

受診のポイント

家族から見た、以前とは違う様子や行動は、医師の問診の参考になり、診断する上でも重要なポイントです。

診療科と検査方法

「神経内科」「精神科(心療内科、神経科など)」を受診します。最近は「もの忘れ外来」として診療しているところもあります。

問診

最初に気づいた症状や今までの経過、他の疾患の有無、服用している薬の内容、家族歴などを詳しく聞かれます。あらかじめ、メモなどに書いて整理しておくとよいでしょう。

身体的検査

身体の状況を把握したり、認知症の原因となる病気や、認知症に似た症状をおこす病気の有無を確認するために、内科的診察や、血液検査などを行います。

神経心理検査

質問に答えることなどにより、脳の働きを調べます。正しい評価をしてもらうためにも、リラックスした気分で受けることが大切です。

画像診断

【脳の形を調べる】
MRIやSPECTで脳の萎縮している場所や程度を診断。
【脳の働きを調べる】
脳の血流が低下している場所や程度を診断。

これらの結果を総合して診断され、治療・ケアの方針が考えられます。

治療薬の紹介

アルツハイマー病に対しては、アセチルコリン伝達を改善する薬剤、塩酸ドネペジル(アリセプト)が長く使われてきましたが、平成23年の春からは、これに加えてさらに3種類の薬が使えるようになりました。
これらの薬は病気の進行を緩やかにするものであり、根本的な治療ではありませんが、なるべく軽いうちに治療を始めるのが理想的です。

※表は横にスクロールできます。

商品名 アリセプト レミニール リバスタッチ
イクセロン
メマリー
一般名 ドネペジル ガランタミン リバスチグミン メマンチン
薬効 認知症の中核症状の進行を遅らせる
抑うつや無関心にも効果 神経伝達物質の分泌を促進 貼付薬のため、コンプライアンスがよい 興奮や攻撃性に効果
主な副作用 消化器症状(悪心、下痢) 皮膚症状 めまい、頭痛、傾眠
用法 1日1回3mgから開始し、1日1回5mgが維持量、進行すれば10mgに増量 1日2回4mgから徐々に増量し、最大で24mgまで 1日1回皮膚に貼付4.5mgから4週間ごとに増量し、18mgまで 1日1回5mg から1週間ごとに増量し、20mgまで
適応 軽度~高度 軽度・中等度 中等度・高度
剤型 錠剤、OD錠※、細粒、ゼリー錠 錠剤、OD錠※、液剤 貼付薬 錠剤

※OD錠:水なしでも飲めるように、口の中で溶けるようになっている剤型。

現在、薬物療法で使われている、アルツハイマー病の治療薬はすべて対症療法であり、根本治療ではないので、薬物以外の働き掛け、家族や介護者の対応が、本人の生活の質や病気の進行に影響を与える可能性があります。レビー小体型認知症には、アリセプトのみ保険適用です。